ちょっとヤレたサニトラ
思いがけぬ運命からこのサニトラに乗ることとなった女性が居る
しかし、彼女がサニトラを乗るに至る経緯は平坦なものではなかった
仮にSさんと呼ぶことにしよう
彼女は仙台は定禅寺通でショットバーを営んで20年余り
知る人以外にはおしえたくない(?)美味しくてオシャレで独特のムードを持つお店だ
そのSさんには弟さんがいて
ミニやサーブを乗り継ぐ好事家であり
東京からの帰郷を期にログハウス風の自宅を建てたのだという
その念願の新居には暖炉があり、薪を運ぶクルマが必要・・・ということで選ばれたのが平成6年式のサニトラだった
ところが
順風満帆な新生活を始めたかに思えた弟さん
若くして病気のため急逝してしまう・・・
故人が若かったゆえの様々なやるせなさ・・・
慮ることは・・・できない
そして残されたサニトラ
これからまさに弟さんと共に故郷の道を走るはずだったのだ・・・
結果的に形見のようになってしまったのだろうか
周りの人々はSさんに
サニトラを受け継ぐことを進めたそうだ
「クルマは動けばいい派」だったSさんも
庭にポツンと置かれたサニトラを見ているうちに思いを変えていったようだ
ワシもSさんに乗ってもらうことを願った
弟さんの想いを乗せたサニトラをSさんが仙台の道で駆るなんていいな、と思ったのだ
ちょうどそのころワシもサニトラ乗ってたしね・・・
Sさんの個体はロング角目
基本ノーマルのようだが
多少、車高が下がってるかもしれない
艶を無くしている塗装は再塗装されたものと思われるが
Sさんは突然受け継ぐこととなったこのクルマの経緯を知らない
ワシ等よく居るカーマニアとは異なるアプローチでサニトラを乗るSさん
室内にはチェックのラグという新鮮なアイテム
カフェのようなリラックス感が生まれてる
仕事であるショットバーへのアシでありながら
高校生のお子さんの送迎にもフル回転しているという
仮にワシの世代なら「オメーの母ちゃんカッケーな」
となるところだが、イマドキの高校生(ワカモノ)はクルマに興味を示さないともいわれる
このサニトラはどう映っているのだろう
シンプルで壊れる箇所がないサニトラだが
路上で立ち往生すること2回
フェンダーミラーがもげること1回!
ワシはSさんに乗り続けてほしいもんだから「どんなクルマも多少は壊れるから、普通だよ」となだめる(騙す)
すると「そういうものかな~」となる
それぐらいメカには疎いのだ(笑)
幸い(?)幾多の故障にもかかわらず、Sさんはサニトラを降りる気は毛頭無いようだが
年式の割に錆も進行しているように思える
「どこをどう直したらいいかわからない」というSさんだが
ボディだけは一刻も早く手を入れた方がよさそうだ
ナンバープレートの「83-87」は
弟さんに因んだ数字なのだそうだ
そんな思い入れのこもったサニトラ
ずうっとこの街の道を乗っていってほしいと願わずにいられない
走れる限り、いつまでもいつまでも・・・