代車レンジローバーとの1ヶ月、3000キロに及んだ生活も終わりを迎える
1991年式と車齢22年を重ねるが、オリジナル度が高く、コンディションの良い個体だった
雑感を記してみたい
・オンロードにて
当初、オフローダー経験の少なかったワシが感じた上屋のグラグラ感は全く杞憂であった
決して重心は低くはないだろうが、慣れれば140キロ程度の巡航は難なくこなし、駆動系の騒音・風切り音とも少ない
このことは、このクルマの主題のひとつで、ランドローバーやジープとの明確な差として意図したものなのだろう
ハンドリングはスローで遊びが多い
但し、これは非常に意味のあることなのだと後に気づく
・オフロードにて
入ったのは軽めの林道程度だが
普通車が恐る恐る徐行する場面を難なく進める
そして搭乗者は快適で、不安を感じることは無かった
「砂漠のロールス・ロイス」の異名をとる所以なのだろう
副変速機をL(低速)に入れると
重機を思わせる「ウィーーーン」と大きなギアノイズに包まれる
ウッドで化粧を施されたATセレクターの下には
このクルマの肝と言える屈強なフルタイム4WD駆動システムがあるのだ
Hモードとのギア比が2.7:1だというLモードでは、ややクリープが弱めのATのピックアップが一気にダイレクト感を増す
このことは急坂やタイトコーナーを極低速で走り抜けるとき、またギャップ越えに大いに役立つ
無論、オンロードではフラつきを感じる4輪コイルを持つ足回りのストロークもこのためだろう
巨大で握りの太いハンドルはキックバックを殆ど伝えない
そう、スローで遊びの大きいハンドリングはラフロードでこそ本領を発揮するのだ
・エンジン
確かビュイックV8を源とするオールアルミ製3.9Lユニット
普段はトルクフルながらシュルシュルと大人しく回るが
ひと度アクセルを踏み込むと「ドロロロ」という野太い音と共に2トンに及ぶボディをどこまでも引っ張る
ワシにとって、何の不満も無いこのクルマの唯一のウイークポイントはこのユニットの燃費だろう
リッター4~5Kmはワシのフトコロにはキビシイ汗
正確な燃費? 満タンを決めれることがあまりなくて、計れなかったよ笑
・スタイル・内装
なんとも良いカタチだと思っている
丸ライトと横格子のグリル
バンパーこそメッキだが、高価格車にかかわらず、飾りのない顔だ
でも、見れば見るほど愛嬌がある
ノーズ先端左右の突起はこのクルマのデザイン上の特徴だろう
昔から「変わったデザイン処理だな」と思ってきた
乗ってみて、これには機能的に意味があるのでは、と思えた
この突起があることで1.8mを越す全幅が非常につかみやすくなっている
高いアイポイントと相まって市街地での取り回しは意外なほどしやすいのだ
サイドからリアのスタイル
シンプルながら、たくし上げたようなオーバーハング後端がオフローダーであることを思わせる
小ぶりのテールランプを持つリアビューは直線のプレスラインしかない
素っ気ないほどのこのリアスタイルが一番好きかもしれない
室内ではドライバーシートとステアリングホイールの間隔が狭いなと思った
欧米人だと乗り降りの際、太腿とステアリングが引っ掛ってしまうだろう
チルト機構が欲しいところだが、初期型の誕生が1970年とを考えれば止むを得まい
ウッドと革が奢られてはいるものの
樹脂部分や計器はいたって素っ気ない
贅沢な素材を用いながらも敢えて「道具」に徹したかのように
広大なグラスエリアを持つキャビンは快適そのもの
見えすぎて、外からの視線に恥ずかしくなることもあった笑
クルマ自体が目立っているからだろうけど
愛機アルファ75はGTなので、対極的にも感じるが、共通点もある
どちらも高度で、理想主義的メカニズムを持つことだ
共に1970年代前半にルーツを持つことも興味深い
その時代は環境・安全が声高に叫ばれ、日本車の台頭が進んだ
何事も効率優先が持て囃され始めた時代に逆行したのが両車なのかもしれない
故障が多いことも共通点だろうか笑
高級車だが、ガンガン使おうと思えば、それに答えてくれるのがレンジだ
例えば、街で偶然会った友人をその自転車ごと送り届けることも難なくこなした。違うか笑
おそらく、現代のレンジローバーをはじめとするオフローダーは
オン/オフの走破性やスペースユーティリティ、そして環境対応、経済性に優れるはずだ
でもね、大きく重く、オンロードではユラユラ走るクラシック・レンジがなんとも好ましく思える
街角で最新のレンジと会ったりしても、引け目はなく、むしろ「こっちの方がいいんですよ~」と教えてあげたくなるほどだ笑
現車のオーナーさんは無類のクルマ好きのだ
気にしていたかわからないが、ワシが乗ってる期間に走行距離がちょうど10万キロを迎えてしまった!
短期間とはいえ、生涯マサカ乗ることはあるワケ無いと思っていたレンジに巡り合い、クルマ好きとして得たものは大きかった
ワシ的にこのクルマに似合うな~と思うショット
青森・尻屋崎灯台近くの草原で